産地ロンダリング
食品業界では産地偽装/ロンダリングの問題が頻繁にとりだだされているが、エネルギー業界でもロシア産原油の産地ロンダリングが横行している。本日の日経新聞の一面でロシア原油欧州への裏ルートという記事が出ているが、本年度末までにEUがロシア産原油の約90%を禁輸する事による駆け込み要因と、最高で市況の40%安と言われている価格帯は、不謹慎ではあるが魅力がある。中国やインドは、ウクライナ侵攻以前と比較して輸入量をかなり増やしていると言われているが、露骨にロシアからの調達が増えて中東からの調達が減れば、中東諸国としてもおもしろく無いだろう。(OPEC+の足並みが崩れる)また、下流側の製品にロシア産原油の価格が反映されたものが出てくれば、ゲームチェンジャーとなり得る可能性は多分にあるし、それにより各国の石油化学産業が脅かされる可能性がある。諸外国がとりうる規制が出てくるとすれば、出発原料としてロシア産原油を使用している場合は関税を課すか域内に持ち込ませないという仕組みの構築だ。(Reach規制や新たな法案の可決)ロシア産原油を購入している石油化学品メーカーは、足元では製造原価が下がり製品は市況価格で販売するので、過去最高益を出しているメーカーも多々ある。直近の原油価格はWTI82㌦/bbl まで下がっている。これは中国の新たなロックダウン(需要の減退)と、ドル高(原油と逆相関)が主要因と言われている。考えてみればあたりまえの事だが、世界各国の石油・化学品メーカーは、高く買ってくれる先に製品を輸出するという傾向が顕著になっており、結果として各国内の相場も同時に押し上げている状況だ。景気が減速したタイミングで物が余って相場が下落し、上記のような製品が国内に流入した際には、一物二価のような状態になる可能性がある。