トランプ氏の公約
米国大統領選挙に勝利したドナルド・トランプ氏の公約内容と、身近なところでどのような影響を与えるかを考えてみます。
経済と財政
減税により景気を刺激して経済を成長させ、財政赤字を減らす。
①法人税の引き下げ/個人の所得税最高税率の引き下げの期限撤廃
②チップ、社会保障給付金への課税廃止
・・・・・会社や個人にお金が残る←設備投資や消費にまわる事にならなければ、税収が得られずに寧ろ財政赤字は増える。
③住宅ローン引き下げ、税制優遇
④高齢者に対しては、公的医療保険、社会保障は削減しない。
⑤AIの安全性に関する基準(バイデン氏の大統領令)廃止、暗号資産の取引自由化(自らをCrypt Presidentと呼んでいる←ビットコイン最高値更新)
・・・・下記通商や移民政策の公約とあわせると、インフレ傾向が続くのではないかと推測
関税で減税分の補いをつけられるかどうか。日本も同じ事であるが、減税を行う場合
は、消費による税収アップの他、どこかで補いをつけなければならない。
MobilityxAIは一歩先に進む可能性。
エネルギー政策
①「パリ協定」からの離脱方針
②エネルギー資源の開発を止めることを目的としたすべての政策に反対
③1年以内にエネルギー価格や電力価格を少なくとも半分にするという野心的な目標に取組む
④LNGの新たな輸出手続きの凍結を解除
⑤天然ガスの採掘やパイプラインの整備に関する連邦政府の許認可の手続きを迅速化
・・・・脱炭素、CO2削減とは相反する政策。EV販売を促進する一連の政策の廃止(足元は販売が伸びている)、排ガス規制の緩和(EPA規程の見直し)クリーンエネルギー税額控除(数十億㌦規模)の不確実性が高まる。消費者が使用するエネルギーのコストを下げる事に重点が置かれる。← 原油コストが下がれば、累計7兆1,395億(2022年1月27日~)燃料油価格の激変緩和事業が終了し、年間1/3程度を減税費用にあてる事が出来るかもしれない。(日本)
通商/為替
海外から輸入される製品に関して、10%~20%の関税をかける方針
中国に関しては、最恵国待遇の撤回と一律60%の関税を探る。(台湾に侵攻すれば、150%から200%の関税を課す)・・・工場の移転を考える中国企業もあるのでは? 中国からの対抗措置がどのようなものになるか、、、また、原産地偽装問題が出てくる可能性がある。中国で生産される製品が行き場を失い、近隣国に安価な製品があふれてしまえば、競合分野の製品を製造する国内企業や海外企業は、採算が悪化する可能性がある。(中国への輸出が鈍化した結果、自国内の生産も落とさざるを得ない為、その原料を使用している自国内の企業へも影響が出る。)
メキシコから輸入される自動車に200%の関税をかける。
急激な円安ドル高は、製造業が打撃を受ける為、国益に反する。
・・・・過度な保護主義で製造業の国内回帰を促した場合、第3国から迂回輸出している企業は海外製造拠点(特にメキシコと中国)の見直しをする可能性がある。自動車は民主党政権の政策にあわせてきた会社や↓、ハイブリッドに力を入れてきた企業は↑ EVは下振れする可能性があるか?、、(今からのタイミングで設備投資ができるか?)
移民政策
アメリカ史上最大の強制送還作戦を実施する。・・・・労働力不足による賃金コスト押し上げ
すべての国境管理政策を復活させる。
※財政赤字を減らす為の相反する政策が打ち出されているので、一般論だけでは判断が出来ない状況ですが、貿易収支が赤字の中国、メキシコ、ドイツ、日本、ベトナム、アイルランド、韓国、イタリア、マレーシア、インドなどへは様々な要求が出てくる可能性があります。(特に中国とメキシコ)現在日本がアメリカから輸入している上位の品目は、医薬品、穀物類、原動機、液化石油ガス、液化天然ガス、肉類(デジタル収支1兆円程度なので上位1~3位以内か?)トランプ氏の周囲にブレーキを踏む参謀がいないようなので、出方を見極める必要があります。