レアアースの問題
公開済み by 福永芳顕 -U174の 社長独言/備忘録 · 月曜日 16 6月 2025 · 1:00
Tags: レアアース, 問題, 環境, 資源, 技術, 経済, 持続可能性, 政策, 地政学, 供給チェーン
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私の気のせいかもしれませんが、6月に入ってからレアアースの周辺情報が増えてきているように感じます。
①トランプ関税への対抗措置として、中国が打ち出したレアアース輸出規制はイギリスのロンドンで行われた貿易協議の結果を受けて、輸出再開許可に6ヶ月の期限が設けられる事となりました。(WSJ)
②ミャンマー東部シャン州で中国資本とみられる資源会社が、少数民族の武装組織(ワ州連合軍(UWSA))に警護に防護されながらレアアース(希土類)の採掘を行っていることが、関係者の話で分かった。(ロイター)
③インド政府が国営レアアース(希土類)会社IRELに対し、日本向け輸出を一時停止し、国内への供給を確保するよう要請したことが13日、関係者の話で分かった。(ロイター)
④防衛省は、中国海軍の空母などが太平洋を航行し、小笠原諸島の南鳥島周辺の日本のEEZ=排他的経済水域に入ったのを初めて確認したと8日発表しました。(NHK)※この地域には大量のレアアース泥がある事が判明しております。
レアアースは、電気自動車、風力発電、パソコン、携帯電話、テレビ他、様々な精密機器に使用されており、中国が採掘量の世界シェアで70%弱、精製シェアで90%以上を占めています。
下記は、”軍需産業にレアアースは使用されますか?” という問いに対する、AIエンジン Perplexityの回答です。
軍需産業にレアアース(希土類元素)は広範に使用されています。レアアースは全17種類あり、その優れた磁性、導電性、耐熱性などの特性から、現代の兵器や軍事技術の基礎材料となっています。
主な用途例
F-35戦闘機1機には約400~440kgのレアアースが使われており、エンジン、レーダー、暗視センサー、熱遮断コーティングなど、さまざまな重要部品に不可欠です。
潜水艦やミサイル、戦車、軍用ドローン、レーザー兵器、衛星の通信装置・レーダー・ソナーなど、先端兵器システム全般でレアアースが利用されています。
特にイットリウム、ジスプロシウム、テルビウムなどの重希土類は、航空宇宙産業やレーザー機器、誘導ミサイルの磁石、電気モーターなど安全保障に直結する分野で必須です。
供給の地政学的リスク
現在、レアアースの採掘・精錬は中国が圧倒的なシェアを持ち、米国や日本、欧州の軍需産業は中国産レアアースに大きく依存しています。
中国がレアアース輸出規制を強化した際、米国防総省はF-35戦闘機や潜水艦など主要兵器の生産に支障が出る懸念を表明しました。
米国はこの依存を減らすため、国内や同盟国でのレアアース供給網の構築を急いでいます。
まとめ
レアアースは現代の軍需産業に不可欠な戦略資源であり、武器・兵器システムの多くがその供給に依存しています。供給網の安定化は各国の安全保障政策の重要課題となっています。
足元でレアアースの確保や関連ニュースが増加しているという事は、紛争、戦争へのリスクが急激に高まっているのではないかと思います。勿論、採掘や精製をしている国にとって、有利な貿易交渉をする為のカードである事は間違いないですが、その為に経済活動が止まってしまう事も覚悟をしておかなければなりません。自動車製造においてもレアアースは不可欠ですが、ガソリン車ではキャタリスト、セラミック部品、酸素センサー、EVではモーター類やバッテリーに使用され、後者の方が部品数、用途、使用量は多いです。国が存続する為に何をすべきか?という覚悟で動いている相手と相対するには、それ相応の覚悟が必要です。