水の国際問題と農業
公開済み by 福永芳顕 -U174の 社長独言/備忘録 · 水曜日 23 4月 2025 · 1:00
Tags: 水, 国際問題, 農業, 環境, 水資源, 持続可能性, 農業政策, 水管理, 気候変動, 食料安全保障
Tags: 水, 国際問題, 農業, 環境, 水資源, 持続可能性, 農業政策, 水管理, 気候変動, 食料安全保障
アメリカとメキシコの間では、1944年の条約でメキシコからアメリカへ5年間で1.75 million acre-feetの水をリオグランデ川から送水し、アメリカからメキシコへは毎年1.5 million acre-feetの水をコロラド川から送水しなければならないという取り決めが存在します。
昨今の気候変動や干ばつの影響で、両国とも本条約の順守に苦しんでいますが、トランプ大統領は、TRUE SOCIALに下記のようなコメントを投稿しました。要約しますと、
テキサス州南部の農家は、メキシコが条約を遵守しない為に苦しんでいる。その為に昨年、テキサスで唯一の製糖工場が閉鎖された。 遵守させる為に、コロラド川からメキシコ最北端ティファナへの水の輸送を停止した。関税や、場合によっては制裁も含め遵守させるまで続ける。(現在のメキシコの遵守率は10月迄の期限で30%)
コロラド川から飲料水や灌漑用水の供給を受けているカリフォルニア州のサクラメントバレーでは、日本に輸出する米(コシヒカリやあきたこまち)も生産されているようですが、(カリフォルニア州で最も多く栽培されているのは、ジャポニカ系の中粒種「カルローズ」です。)また、水田は水の使用量が多い為、米を栽培すべきではないという意見もあるようです。(4000万人の生活用水をまかなうコロラド川に隣接する米国州の周辺自治体へは、節水への協力金が支払われています。)
ロンドン大学のアンソニー・アラン名誉教授が提唱した仮想水(バーチャルウオーター)の考え方と、東京大学サステイナビリティ学連携研究機構の沖大幹教授の研究から数値化された米1kgあたりの生産に必要な水の量3600L、2023年度にアメリカから輸入された米の数量34.8万トンから導きだされる水の量は、1,252,800,000,000L 東京ドーム1杯が1,240,000,000Lとすると、1010杯分の水が使用されたという事になります。ちなみにこの数量は、アメリカからメキシコに毎年コロラド川から送水しなければならないと取り決めている数量(1.5 million acre-feet=1,850,220,000,000L)の67.7%にあたります。