ホルムズ海峡封鎖と戦略備蓄
公開済み by 福永芳顕 -U174の 社長独言/備忘録 · 火曜日 03 3月 2026 · 1:00
Tags: ホルムズ海峡, 封鎖, 戦略備蓄, 地政学, エネルギー安全保障, 国際関係, 中東, 経済影響, 軍事戦略
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米国とイスラエルによるイランへの攻撃により、事実上ホルムズ海峡が閉鎖されました。前回、各濃縮施設への爆撃時にも同じような懸念がありましたが、それが現実になりました。
日本は254日(民間も含む)の原油、3週間のLNG戦略備蓄を保有していますが、前者は約95%、後者は約11%を中東に依存しております。LNGへの影響は原油程致命的ではありませんが、近隣の中国、韓国、台湾の中東依存度が高い為、代替先からの調達を模索すると、相場が上昇する事は必至です。また、欧州はロシアからのガス供給を2027年から全面禁止する段階的措置を採択しており、代替としてカタール産LNGに深く依存しています。カタールのガスはすべて海路(ホルムズ海峡)を通るため、ここが止まると欧州のガス市場はパニックに陥ります。選択しとして考えられるのはアメリカのLNGですが、現段階においても、本来中国に向かうべきアメリカ産のLNGは、中国国内に入れる段階で高額な関税がかかってしまうので、市況が高いEU圏へ振り向けられているものが多々あるようです。 ロシアから”シベリアの力”というパイプラインを経由して安価な天然ガスを輸入し、アメリカ産のLNGはEU圏で利ザヤをとるという戦略は非常に強かです。
戦況が長引けば原油の戦略備蓄を切り崩す事になりますが、仮に湾岸戦争と同じ期間(7ヶ月)ホルムズ海峡が閉鎖された時のリスクに関して、考えていきたいと思います。
日本からの航行日数は、片道約20~25日(往復45~50日)かかります。7ヶ月間石油が入手できないとなると、在庫が底をつきます。先ずは、約100日前後の民間備蓄の切り崩しにはじまり、次に国家備蓄145日分の切り崩しを行う事になりますが、紛争が長期化すれば、恐らく、政府は「国民生活(ガソリン)」よりも「防衛・重要インフラ(自衛隊、警察、救急、電力、物流)」を優先させる為、一般車への給油制限が行われる事になると予想されます。また、日本の製油所の多くは、硫黄分が多い中東のサワー原油を処理するように設計されているので、他国の軽質、低硫黄のスイート原油を持ってきても、精製効率が落ちて生産量が激減するようです。更に、得率のミスマッチもおこります。この記事を書いた1ヶ月後の状況が何も変わっていなければ、燃料油に関して何等かの措置がとられるのではないでしょうか? 湾岸戦争時は原油価格が3か月で2倍になり、その後4ヶ月で元にもどりました。 日経平均は2ヶ月で30%下落し、停戦時には開戦時の85%程度まで値戻ししています。歴史的なインフレとスタグフレーション発生のリスクがある事は事実です。備蓄は254日ありますが、社会機能が維持できるのは4ヶ月程度が現実的とされています。また、周辺諸国の製油所などへのドローン攻撃も始まっているようですので、各国が参戦した場合、早期に終結するか、長期化して泥沼化するかはわかりません。ただし、損傷した製油所で生産が出来なくなれば、戦争が終結しても、在庫が底をつく事は目に見えています。日本が生き残るためのシナリオ(ボトムライン~理想形まで)を描いておく必要があるかと思います。先日、日米対米投資第1弾が発表されました。南部テキサス州の港湾に面した原油輸出施設を整備する事が入っていましたので、非常にタイムリーな話だと感じています。
これはなってほしくないシナリオですが、米国が中東に戦力をさいているいる時、仮に南シナ海・台湾海峡が「紛争海域」となった場合、更に厳しい状況になります。戦略上、日本は2つの急所 第1の急所:ホルムズ海峡(エネルギーの出口) 第2の急所:台湾海峡・南シナ海(物流の通り道)を握られていますので、、、
もう1点、化学品のサプライチェーンに関して、平常時はJUST IN TIME(ジャストインタイム)、非常時はJUST IN CASE(ジャストインケイス)が原則ですので、在庫の積み増し、タンク残を満タンに近いレベルでの運用など考えておられる企業様もいらっしゃると思います。自社内で完結する製品であれば、在庫の積み増しをすべきだと考えますが、サプライチェーン内の1つの原料、副原料、部品、半製品が欠けても、末端製品の製造がストップする為、過剰在庫になってしまう可能性もあります。非常に難しい判断だと思いますが、通常よりも前広に発注をかける企業様が増えると、現時点でもボトルネックになっている物流が、更にタイトになります。危険物、毒劇物(危険物を兼ねる)で、自社で在庫を持ちながら運用したいと考えておられる企業様がおられましたら、2026.3.3時点で少しですが危険物倉庫のスペース(広島県安芸郡坂町)がございますがのでご相談をいただければと存じます。(宣伝)
